0本の木を植えました

mySDGの植樹活動について

thumbnail

「竹」素材の日用品で脱プラスチックを目指す!ホテルのアメニティを入り口に竹製品を日常使いのアイテムへ

株式会社日本竹一番

日本竹一番は、ホテルのアメニティ用品を中心に竹製品を取り扱う総合竹製品メーカーです。SDGsでも取り上げられるプラスチック削減を目指し、「竹」を代替素材としたさまざまな生活用品の研究・開発に取り組んでいます。今回は創業経緯や竹製品の魅力について、代表の石川様に伺いました。




お話を伺った方


石川智哉(いしかわ ともや)様
株式会社日本竹一番 代表取締役

1984年東京都出身、2007年早稲田大学理工学部卒業、2007年総合広告代理店「株式会社大広」入社。マーケティングコンサルタント、オールメディアの広告制作プロデューサーを経験、2018年株式会社エンドロール創業。代表取締役CEO就任。国内企業のマーケティングアドバイザー、事業開発、広告制作や広告運用代行を行う。2020年株式会社アステップ西内代表と出会う。翌年同社執行役員を兼務。竹製品事業部の歯ブラシ販売事業立ち上げに携わる。2022年株式会社アステップ竹製品事業部を法人化、株式会社日本竹一番創業。代表取締役就任。


■「竹でお箸が作れるなら、歯ブラシなどのアメニティは作れないの?」某大手リゾート運営会社様のひと声が「日本竹一番」の誕生のきっかけに



mySDG編集部:創業の経緯を教えて下さい。

石川さん:弊社は、株式会社アステップ(以下、アステップ)の竹製品専門事業部の販売部門をそのまま法人化する形で、2022年7月7日に設立されました。

アステップは1963年に東京白金で貸しおしぼり業「白金タオル」としてスタートした会社です。主におしぼりやお箸などの業務用品の販売事業を展開しています。2007年頃になると、森林保護のため杉などを使用したお箸の製造を控える風潮が高まり、そのタイミングで無添加の高級竹箸を取り扱う「竹一番」事業を立ち上げたことが、のちに弊社の設立にもつながっていきます。

mySDG編集部:最初は竹箸からのスタートだったんですね。

石川さん:そうなんです。「竹一番」の竹箸は日本を中心に、シンガポールなど海外でも4,600店舗で使用されるほど、国内外問わず身近な物として広まっています。

mySDG編集部:そこから竹製の歯ブラシなどの製造・販売に至るまでにどんないきさつがあったのでしょうか?

石川さん:「竹一番」事業の立ち上げから10年後、某大手リゾート運営会社様からアステップの代表・西内に相談があったそうです。新規開業のホテルにおける、竹製インテリアや備品の相談でした。その中で、「竹でお箸が作れるなら、歯ブラシなどのアメニティは作れないの?」と声をかけられたことが転機になります。世界中に広がり始めていた脱プラの流れから今後ニーズが生まれるかもしれないと、2018年頃から竹歯ブラシの試作を始め、2021年「BambooToothbrush」の販売を開始します。その間に、クラウドファンディングサービス「Makuake」でテストマーケティングを行ったり、 SNSを活用した竹歯ブラシの親子体験型イベントを開催したり、商品ラインナップを増やしたり、昨年は「BambooToothbrush」が「OMOTENASHI Selection2021」にてANA賞を受賞しました。

mySDG編集部:そこからさらにホテル事業にも参入していくんですよね?

石川さん:はい。2022年4月に「プラスチック資源循環促進法」が施行されたタイミングで、ホテル向けに竹歯ブラシとコームの販売を開始します。2022年5月には竹製品全般の自社包括ブランドを「BambooOne(バンブーワン)」と命名し、ホテル事業者専用のサイトもオープンしました。さらに、日本全国のホテル事業者様へのサービスをより手厚く、強固にするために、国内最大手のホテルアメニティ総合商社である株式会社JTB商事様との販売連携もスタートしました。

mySDG編集部:ちなみに「日本竹一番」法人化は、今後のニーズを見込んだからなのですか?

石川さん:そうですね。アステップはモノづくりメーカーとして約60年という長い歴史があり、原料調達、加工技術、製造特許、自社一括の貿易・物流体制と、確固たる品質を担保できる製造メーカーです。
一方、今後急拡大するSDGsや脱プラの流れ、時代のニーズに応えていくためには、良い「モノづくり」だけでなく、お客様に商品を知っていただき、ビジョンに共感いただき、購入・愛用して頂くまでの、良い「ブランディング、宣伝、販売体制」を構築する必要がありました。

私は広告代理店出身という事もあり、マーケティングやブランディングを専門としています。このような流れから、アステップ製の竹製品を扱う、総合竹製品販売メーカーとして、当社を創業する運びとなりました。


■プラスチック代替品の「竹」。材料としてサステナブルだがマイナス面も。無添加技術で安全な製造過程にし、口に入れても安心な竹製品を開発

mySDG編集部:最近では、竹由来の食器やお箸、コップなどが増えていますが、なぜ「竹」がプラステック製品の代替品として選ばれているのでしょう?

石川さん:そもそもプラステック製品は、1950年代から1970年代あたりまで続いた高度成長期に多く普及したと言われています。それ以前は、日用品の原材料として竹が使われており、竹でかごやお箸、歯ブラシを手作りして使っていたそうです。

プラスチック製品は「安い」「加工しやすい」「軽い」「壊れない」といった理由から人々の暮らしに広まっていきますが、現在、脱プラスチックの流れで再び竹に注目が集まりはじめています。我々は元々暮らしの中で竹を使って生活をしていましたし、竹になじみが深い民族でもあります。その点も、竹がプラスチックの代替品として選ばれる理由の一つだと思います。

mySDG編集部:竹は素材としてはどんな特徴があるのですか?

石川さん:竹は大きくなるのが早いんです。3月頃にタケノコとしてスーパーに並びますが、そこで伐採されなかった竹は、3〜4ヶ月後には10m位になっています。我々の製品は、四年双(樹齢4年)の竹を使いますが、道具としての強度が十分になる年数はたった3年なんです。例えば、杉やヒノキで道具を作りたいとなると、数十年かかってしまい、テーブルなど大きいものになれば数百年なんてこともあります。

石川さん:竹は成長が早く、生命力の強い植物なので、管理も難しくなく、次々に生えてくれます。木材でも色々な種類がありますが、竹は5年目までのCO2吸収量が他の木材に比べ、多いというデータもあります。カーボンニュートラルの視点から見ても、竹は非常にサステナブルな素材なんです。

mySDG編集部:2018年頃、いわゆるエコ大国と言われるニュージーランドを訪れた際、スーパーなどでも竹素材のお皿などが売られていたのがとても印象的でした。日本でも最近目にするようになりましたが、日本での普及率についてはどう思われますか?

石川さん:日本は遅いように感じています。やはり海外の方のほうが、環境課題を自分事としてとらえ、自然と共存する意識が高いですね。我々はホテル事業者を皮切りに販売を開始していますが、意識改革という点ではまだまだ時間がかかりそうです。

mySDG編集部:ちなみに「日本竹一番」が製造・販売する竹製品の特徴は、どういった点にあるのでしょうか?

石川さん:弊社独自の「特許製法」を開発し、無添加製法にこだわった点ですね。植物は成長するのに水分が必要なのですが、竹は成長がとても早い分、内部に水分をとても多く含んでいます。ですから、カビやすいんですね。それから竹は糖度が高いので、伐採すると、ほとんどの確率で虫が付いています。竹のマイナス面の特徴を処理せずにそのまま加工して道具にしても、翌日カビたり、虫が出てきたりしてしまいます。その問題点を解消するために、一般的には防カビ剤や漂白剤などの「薬剤洗浄」をして、カビを発生しにくく、色もきれいにします。これらの処理を行うことで、日常的に水分に晒されてもカビは発生しません。

しかし、会長の西内が以前、薬剤洗浄された竹由来の箸を口に入れた際、苦味とピリピリ感を感じたそうなんです。薬剤洗浄の結果、防カビ剤と防腐剤が残ってしまったことが原因でした。口に入れて使う道具に、使用上の不快感や薬剤に含まれる発がん性物質が残ってしまっていては、安心して使う事はできない、そう感じたそうです。

そのため防カビ剤や防腐剤を使わず、竹を無添加で加工する独自の「特許製法」を開発しました。特許技術を用いることで、薬剤洗浄をしなくてもカビは生えず、虫も死滅します。食品環境検査協会の試験でも、通常防カビ剤などに含まれる発がん性物質が一切検出されませんでした。

石川さん:さらに弊社のプロダクトは、きちんと管理された竹林で育ったことを示す「FSC認証」を受けた竹のみを使用しています。FSC認証を取得している竹は、「森林の管理が環境や地域社会に配慮して適切に行われているかどうか」を評価・認証されています。FSC認証を受けた竹を使った製品を選ぶことで、適切な森林管理を行う林業者や地域を支援することにもなります。
BambooOneは、竹を消費する上で、竹林を正しく管理する事で、地球資源と環境を保護しています。これら原材料の選定や製造プロセスにまで自社一括管理で責任を持つ事が「日本竹一番」の特徴であると思います。




■消費者が竹製品を選んでくれる道をつくるのが先決。プラスチックの大量生産・消費国からの脱却を目指す。

mySDG編集部:今後の製品開発にあたっては、デザイナーさんを立てられる予定とのことですが、こちらはすでに始動しているのでしょうか?

石川さん:はい、始動してます。今後は世界各国で、数多くのプロダクトデザイン実績のある、木南卓也氏を弊社アートディレクター兼取締役に迎え、例えばホテルアメニティのような「たった1度、使って捨てられるプロダクト」にも、命を吹き込み、お客様に感動を与え、持ち帰って大事に使い続けて頂ける、そんな「愛用品」を作り出す事を目標に掲げています。現在あるアメニティの改良版のようなイメージで、さらにスタイリッシュなデザインにアップデートしていく予定です。

mySDG編集部:ホテル向けに新商品の開発を進めているとのことですが、マーケットとしては、宿泊施設が大きいのですか?

石川さん:「BambooOne」は、生活雑貨全般に展開する予定ですが、スーパーや薬局に竹歯ブラシが売っていても、選ぶ方はまだまだ少ないと思うんです。しかしプラスチック資源循環促進法が施行されたことで、年間5トン以上のプラスチックを排出する事業者は名指しで公表され、罰金を課されることになります。その点、ホテルや旅館、温泉施設などは排出量が多くなるので、マーケットも大きく、今後は製品の拡充も進める予定です。

あとはコロナ禍により、宿泊施設でもバーベキューの需要が拡大しています。その影響でホテルでもカトラリーのニーズも増えている状況です。

mySDG編集部:カラトリーシリーズは一般の方も購入できるのですか?

石川さん:当社の公式通販サイトの「手から手」で購入できます。エシカルなプロダクトにご興味のある方、あとはアレルギー疾患をお持ちの方などは、当社の商品しか使えないと、継続的にご購入をいただいております。但し、現状は、業務用規格が中心で、一般消費者の方というよりは、業者の方に、ご購入をいただく機会が多いです。

mySDG編集部:ちなみにどういった業者さんが購入されているのでしょうか?

石川さん:小規模宿泊施設やAirbnb(エアビーアンドビー)などの民泊サービスをやっている方などですね。大規模になると、数千~とロット数が多く、納期面や納入方法等のすり合わせの必要もあるため、直接当社にお問合せいただき、商談やオリジナルロゴの対応、お見積りなどをご提示して、納品させていただいています。

現在は、販売代理店として、JTB商事様も連携いただいてますので、全国のホテル・旅館事業者様に出来る限りスピーディに対応できる体制を構築しております。

mySDG編集部:今後の展望などを教えてください。

石川さん:やはり一般消費者に竹製品を広く使っていただくことですね。日本のプラスチック廃棄量はアメリカに次いで2位という状況です。製造も消費もとてつもなく多く、世界で捨てられているプラスチック製の歯ブラシは日本製がダントツに多いと言われています。つまり日本はプラステック製品を大量に製造し、大量消費している国なんです。

もちろんプラスチックが悪いものということではありません。しかし、海洋プラスチック問題など多大な課題を抱えていますし、廃棄して燃やす際にCO2が排出されることから、減らせるものなら減らした方がよいものです。

弊社は現在、ホテル向けのアメニティ用品として竹歯ブラシなどの導入に力を入れていますので、今後ホテルで気軽に竹製品を使える機会が増えてくると思います。実際にホテルで竹製品を利用することで、自宅で使用するプラスチック歯ブラシを見直し、普段の生活にも竹歯ブラシを選んでいただく機会を生み出すことも目指していきたいです。竹歯ブラシを使う人が増えれば、ドラックストアなどでも竹製品の需要が高まりますしね。

我々はホテル向けの商品を作るために会社を設立したのではなく、プラスチック製品を大量に生産し、消費する今の状況から日本を脱却させたいという願いからです。ホテルのアメニティを一般の方々に体験していただくことで、竹製品の良さを知るきっかけになればと思います。


mySDG編集部:口内は繊細な部分でもありますので、歯ざわりや風味などにこだわる人も多いですよね。最初のハードルとしてお金を出して買ってみる前に、ホテルなどで使ってみるチャンスがあるのはとてもいいですね。

石川さん:使ったことがないものは購入のハードルが高いですよね。竹なので、竹の香りはしっかり感じられますし、質感はプラスチックのようにつるつるではないです。我々はできるだけオーガニックを使いたいので、ブラシ部分は「ナイロン610」という植物化度60%のナイロンポリマーを使用しています。使い心地は、通常の歯ブラシよりも若干柔らかい感覚です。

また、「歯ブラシ」としての衛生面や医学的機能を追求していくために、歯科研究医の有川量崇先生と歯ブラシについて研究しています。例えば、歯ブラシを使った後に、水洗いしても、ブラシ部分には少量の虫歯菌は残ってしまいます。その虫歯菌が繁殖してしまったら、毎日使い続けるには不潔ですし、抵抗がありますよね?
そこで、プラ歯ブラシと竹歯ブラシで虫歯の原因菌が使用後どれくらい残るのか?実験を行いました。今年6月に学会発表されたデータでは「プラ製より竹製の方が虫歯原因菌が残らない」という驚くべきデータが出ています。まだまだ未解明ですが、竹が本来持つ消毒・殺菌作用が虫歯菌に作用しているのかもしれません。

竹歯ブラシは、現状作っているメーカーも使っている消費者も少ないので、これから洗練されていく分野だと考えています。

mySDG編集部:日本のドラックストアなどでも手軽に買えるようになる日を楽しみにしています。本日は貴重なお話をありがとうございました。



BambooOne ご購入はこちら

株式会社日本竹一番 オフィシャルサイト

この進捗のプロジェクト

この進捗がターゲットとする目標

sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg

この進捗が獲得した証明

mySDGによる証明

第3者ユーザーによる証明

公的機関ユーザーによる証明

SDGs進捗見える化メディアプラットフォーム

© 2022 bajji, Inc.