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【取材記事】「シエラレオネの貧困問題を根本から解決したい」〜すべての子どもに教育を届ける〜

特定非営利活動法人Alazi Dream Project

NPO法人アラジは、西アフリカの シエラレオネ共和国で活動する国際協力NGOです。NPO法人化してから8年間で、述べ1,500名以上の最貧困家庭の子どもたちに、公教育への復学機会を提供してきました。
今回は、男子中高生性教育プログラム 「ハズバンドスクール」について代表の下里さんにお話を伺いました。

お話を伺った方


特定非営利活動法人Alazi Dream Project(NPO法人アラジ) 代表理事 下里夢美(しもさとゆめみ)様
山梨県出身。世界最貧国、西アフリカのシエラレオネ共和国にて「誰もが夢にむかって努力できる社会へ」をビジョンに活動するNPO法人アラジ代表理事。桜美林大学LA/国際協力専攻を卒業後、2014年から活動を開始し、17年にNPOを起業、法人化。19年には現地オフィス設立。最も困難な状況に陥る子どもたちへの奨学金給付支援・農村部小学校定額給付支援、10代のシングルマザー復学支援・男子中高生への性教育プログラムなどに従事する。また、インタビューやテレビなど多数のメディア出演や、小学校から大学での講演会などにおいて、シエラレオネの貧困に関する諸問題の啓発活動を行う。筑波大学非常勤講師。2歳男児と3歳男児の母。

■きっかけはドキュメンタリー番組

mySDG編集部:団体立ち上げの経緯を教えて下さい。

下里さん:高校2年生の頃、テレビのドキュメンタリー番組「世界がもし100人の村だったら」でシエラレオネの貧困問題が取り上げられており、興味を持ちました。大学卒業後、問題解決に向けた活動をするため団体を立ち上げました。

mySDG編集部:それまでもシエラレオネの貧困問題に興味があったり、活動をされたりしていたんですか?

下里さん:ドキュメンタリー番組を見るまではシエラレオネに強く興味があったわけではなかったのですが、思えば幼少期に海外での国際協力に興味をもったきっかけがありました。
私は山梨出身で、小学生の頃、山梨にある日立建機の社長さんのお話を学校で聞く機会がありました。日立建機は、カンボジアで地雷撤去をするための地雷撤去機を作っています。地雷を探査して掘って爆発させるのではなく、地雷の上を走って爆発させながら地雷を除去する撤去機です。

地雷とは人を殺さずに、言い方は悪いですが、社会的に足手まといになる人を生み出すような兵器です。
殺さずに傷つけるという目的に、ショックを受けました。
日立建機の社長さんが作った地雷撤去機は、除去作業と同時に耕作もできます。そのため、地雷を除去した場所が耕かされやがてマンゴー畑になっている光景を見て、とても感動しました。社長さんが、初めて撤去機で地雷を爆破させた際、音のことを何も考えていなくて鼓膜が破れたとおっしゃっていて、「この人は心から夢中になってやっていたんだな」と子どもながらに感銘を受けました。

mySDG編集部:色々なご経験が積み重なって、興味を持って行動に移されたのですね。立ち上げるにあたって大変だったことはありますか?

下里さん:NPO団体を立ち上げる際は、印刷物だけで厚さ2センチほどにもなるような、非常に多くの書類を出さないといけなくて。提出した書類に対して、「ここを半角にして下さい」とか「スペースを入れてください」などの修正指示がたくさん入っていて、書類を完成させるまでの作業が非常に大変でした。

NPOは事業と財源が全く違う動きをします。受益者からお金を得ることができず、ファンドレイジングという方法(個人・法人・政府などから資金を集める)で事業をやっていくことになります。ファンドレイジングについては勉強していたものの、労務・税務などが苦手なまま立ち上げてしまったので、最初は大変でした。

mySDG編集部:団体を立ち上げてからは、具体的にはどのような活動をされていらっしゃるのでしょうか?

下里さん:私自身は現在、日本を拠点に活動しています。子どもが2歳と3歳なので、年に1回出張に行けたら行くという形で動いています。
日本では、テレビなどメディアの取材依頼に対応するほか、大学から依頼があれば授業もしています。
今は筑波大学の非常勤講師もやらせていただいています。

現地では、主に4つのプログラムに基づいて授業を実施しています。(※詳細ホームページに記載)そのうちプログラム1〜3の小学校の定額給付支援と都市部の奨学金給付支援、10代のシングルマザーの復学支援は全て中学校卒業までを目指して、全て現金給付の支援をしています。
また、10代のシングルマザーが生まれない根本解決のために男子中高生の性教育プログラムの「ハズバンドスクール」にも最近取り組んでいます。今年1万人〜2万人の男の子に性教育プログラムを提供する予定です。

■シエラレオネの男子中高生に「性教育プログラム」を実施

mySDG編集部:今回取り上げさせていただいリリース がプログラム4のハズバンドスクールについてだと思うのですが、こちらの立ち上げの経緯などを教えてください。

下里さん:これまで10代のシングルマザーがもう一度学べるように復学の機会を提供してきました。その中で、彼女たちがいじめや陰口を恐れて転校したいと申し出たり、妊娠出産、育児に男性側が責任を取らないというケースをたくさん見ています。男性側が避妊の方法を学ばず子育ての責任も取らない——いわば女性だけがスティグマ(差別や偏見の対象)とされる社会を根本解決したいと思い、ハズバンドスクール立ち上げを決めました。

シエラレオネは、10代の若年妊娠率が世界8位にランクインするほど、非常に若年妊娠が多い状況です。一番の原因は、性教育がされておらず、避妊具にアクセスすることが難しいからだと考えます。
さらに中絶が法で禁止されているなど、さまざまな要因から女性が一人で責任を取らざるを得ないシチュエーションになります。

現在は、パートナー団体のメンバー・ペディーアとともに活動を行っています。
ペディーアは、シエラレオネのケネマ県にグローバルビレッジネットワークという現地NGOを作り、独自にハズバンドスクールを運営していました。アルジャジーラやBBCなど世界のニュースのメディアに取り上げられていたのを拝見し、ヘッドハンティングしました。お互いもっと大きな規模でハズバンドスクールを実施するため、一緒に教科書を作成するなどして取り組んでいます。
彼自身、子どもの頃、村でレイプされた友達の女の子が泣き寝入りせざるを得ない状況を目の当たりにしたそうです。レイプされた彼女の方が悪者にされ、逆に差別を受けたといいます。
そんな社会を変えたいと決意して、彼は独自にハズバンドスクールを始めました。
昔は、女の子がレイプされてもその加害者の男性の家がお金持ちだったり権力があったりすると、村長のような地位のある方が出てきて示談解決してしまうことがあったようです。2019年から示談に関わった人はみんな罰せられるという法律に変わっておりますが、法律があるからといって、村の奥深くまで浸透しているとは限らないため啓発活動も行っています。

性教育プログラムを始めるにあたり、他の団体さんやユニセフさんなど大きな団体が活動している地域でやってもオーバーラップしてしまうので、男子中高生に全く性教育がなされてないという地域を選びました。
男子学生に意識調査をしてみると、「コンドームを一度も使ったことない」「使い方がわからない」「生理って何か知らない」と回答し、また性的同意についても、「付き合ってたらそれはイコールセックスしていい」「付き合ったら自分が女性をコントロールできる」などと考えている男性が非常に多かったです。
100%の男子生徒が「性」について、家庭でも学校でも誰からも習ったことがないという状況でした。

2時間のセッションでは、女性の権利や健康、教育の重要性、生理・出産のしくみ、性加害を起こした場合や示談した場合の刑罰などを学んでいきます。教科書には、女性が被害者となった場合の適切な連絡機関と電話番号が教科書に記してあります。
基本的には女性が被害者となった場合、治療とアフターケアと刑事訴訟のサイクルは無料で受けられることについても伝えています。
特に男性が、自分が女性だったらどう感じるかを考えるセッションになっているので、男子生徒だけで実施しています。

実際に避妊具の付け方なども学んでいます。彼らの親など性教育を全く受けたことがない世代は、避妊具の付け方を学ぶと逆に妊娠するんじゃないかとか、性教育を学ぶと逆に子どもを産むことの年齢が早まるんじゃないかと心配する場合もあります。
逆に禁欲を進めたとしても、禁欲自体は妊娠を防ぐために効果はなく、適切な性教育で妊娠を遅らせることと、性感染症を防ぐことに大きなインパクトがあることをご両親にも納得してもらう働きかけもしています。

授業を実施する学校については、教育省に全中学校・高校のリストをもらって検討しています。ハズバンドスクールを実施する際には、行政のスタッフにも視察していただき、独自の評価を受ける予定です。ケネマ県の産婦人科には、若年妊娠の出産件数が減っているか、性暴力が減っているかという調査も協力してもらい、警察の管轄にあたる「Family support unit」という性暴力を受けたときに連絡する機関には、性暴力件数が実際減っているかどうかの通年調査を実施してもらっています。

(実際の授業の様子https://youtu.be/5d9p6CQm_n8

mySDG編集部:授業をしてみて、反響はどうでしたか?

下里さん:受講前のアンケートでは「性交渉の際にコンドームを使うべきですか?」という質問に対して、13%の男子しか「はい」と答えていなかったのが、ハズバンドスクール実施後は100%になりました。
コンドームの付け方を知らないという男子が100%でしたが、事後調査では全員がに「知っている」と回答しました。「女子の生理中には体調を気遣いますか?」という質問に対しても、83%の男子生徒が「いいえ」と答えていましたが、事後調査では「体調を気遣う」に回答が集まりました。

「10代のシングルマザーの復学に対して賛成ですか?反対ですか?」という問いに関して、事前調査における反対派の意見として、「若年妊娠した女の子が復学すると、クラスでいじめなどの問題が起きてしまうから復学しないほうがいい」「シングルマザーになってしまったら、勉強せず子どもの世話をする必要がある」などと回答していました。しかし自分が同じ立場になったらどう思うかということを考えていくうちに、「女性が教育を続けることは国家の発展にもつながる」、「女性には学ぶ権利がある」という回答が得られるようになりました。

今年は、一般社団法人アフリカ協会の「みずほ銀行公益信託」の助成金をいただいていて、100校2万人にプログラムを開催することが目標になっています。

mySDG編集部:今まで知らなかっただけで、適切な指導をするだけでこんなに変わるんですね。

下里さん:そうですね。現状、婚前交渉が宗教的にも文化的にもタブー視されているので、家庭では性教育をしないというのが一般的です。そのため学校でも指導できる人がいないですし、シエラレオネの5割の小学校・中学校が、建物や教育の設備が不十分と言われています。もちろん保健室もないので、保健の先生もおらず、教えてくれる大人が誰もいない状況です。いたとしてもそういう人が正しい知識を持っているとも限りません。

mySDG編集部:今後の展望や目標を教えて下さい。

下里さん:これからもハズバンドスクールの活動を広げていきたいと考えています。だた、大きな懸念が一つあって、全ての若者に届けることは困難だということです。
今年2万人に向けてセッションを開催すると、8割の男子中高生にこのプログラムを届けられることになります。ですが、単純計算で高校では全体の4割の若者が就学していないんです。中学までは、全体の2割の子どもがドロップ・アウトしてしまっています。義務教育すら修了できてない子がいるのが現状です。
その子達は、すでになんらかの児童労働をしている可能性が高いので、1箇所に集めて届けるということが非常に難しいです。そうすると地域レベルでの開催になりますが、地域レベルだと給食とかインセンティブを用意して来てもらう形になります。インセンティブやリフレッシュメントは団体の助成金の予算に含まれないので、その当たりをどのようにして彼らに届けるかが非常に難しいと感じています。
ラジオ放送で広く発信していますが、どこまで届いたかを計測する術もないので、その点も今後模索していきたいと思います。
また、女の子にも性教育を受けさせたいという要望を学校から多くいただいているので、FGMという女性器切除の問題や、性暴力を受けた後の対応の講座など女子生徒用のプログラムも今後は提供していきたいと思っています。

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