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【取材記事】貿易のデジタル化で世界中のすべての地域の人々を豊かにする社会を目指す―総合商社のキャリアを生かしたノウハウで社会貢献―

株式会社STANDAGE

株式会社STANDAGEは、貿易ビジネスにブロッ クチェーン技術を活用し、世界に新しい価値をもたらすデジタル系総合商社です。今回のインタビューでは、デジタルツールを駆使しながらアフリカを中心とした途上国の貧困や生活インフラなどの解決すべき社会問題を解決に導く取り組みについてお話を伺いました。




お話を伺った方


大森健太(おおもり けんた)様
株式会社STANDAGE副社長

2012年に東京大学大学院化学生命工学専攻を修了。大学時代の研究内容は、がん細胞の早期検出のための診断薬の素材開発。新卒で総合商社の伊藤忠商事株式会社へ入社し、主に医薬品やヘルスケア製品の貿易、海外企業へのM&Aに従事。
BtoBの貿易におけるデジタルシフトの遅さを痛感すると共に、本分野のDXの可能性を強く確信し、2017年に当時伊藤忠の先輩だった足立彰紀氏(現STANDAGE CEO)と共に株式会社STANDAGEを共同創業。現在はSales/事業開発のTOPとして、ユーザー並びに協業パートナーの開拓、事業化を日々推し進めている。


■商社の仕事通して、中小企業のサポートすることが必要不可欠であると実感



mySDG編集部:御社は伊藤忠商事様でのキャリアがある方が創業した会社ですが、創業経緯のことをお話していただけないでしょうか?

大森さん:私どもの会社は現代表の足立と、私大森の2人で創業した会社です。2人とも元々、伊藤忠商事(以下、伊藤忠)の化学部門に所属し、主に貿易を行っていました。私は新規事業開発部に所属し、入社1年目の同期が1隻の船積みで予算が数十億円の中で、私は新規に1年間で100万円の売り上げを作るよう指示されました。当時、大手企業にいきなりアプローチするのが厳しかったので、主に中小企業にアプローチをしていました。やはりそれがなかなか大変でした――。ただその中で知ったのが、大手商社となると、マンパワーの関係で大手企業とのビジネスに注力せざるを得ないということです。
日本企業の屋台骨を支えている中小企業のサポートが難しく、この点を解消していかないと、日本の貿易全般の底上げになりません。大手商社が中小企業の貿易の底上げをしないなら、自分たちが会社を飛び出して、「中小企業の支援をやってみよう」と思うようになりました。

日本には約360万社の中小企業があり、大企業の割合が0.3%です。ほとんど中小企業ですが、海外と取引できる企業は、わずか1%です。モノづくりをする中小企業にとって「貿易」はあまりにも未知の領域になるので、貿易に詳しい商社を活用する必要がありますが、条件面で折り合いが取れません。どうしても1人あたりの商社マンがサポートできる企業には限界があります。中小企業よりも大企業を中心にサポートした方が条件が良いので、そういった観点からすると中小企業のサポートがなかなかできません。
私たちが今、目指す世界は、AIやブロックチェーンといった技術を活用した、総合商社のデジタル化です。デジタル化を通じて、海外と取引がない残りの99%の中小企業にも「ハイクオリティのBtoB構築サービス」を提供可能なデジタル総合商社を目指したのが起業のきっかけです。

mySDG編集部:社会人何年目で創業されたのでしょうか?

大森さん:創業は、私が社会人6年目で、足立が社会人9年目です。

mySDG編集部:先輩と後輩のご関係なんですね。前職の会社はSDGsにすごく取り組んでいるイメージがあります。やはりその影響でSDGsに着目されていたのでしょうか?

大森さん:私は2017年に伊藤忠を退職しました。2017年の時点では、正直申しますと社内でSDGsが具体化されている感じではありませんでした。一方で、伊藤忠の当時社長だった岡藤現会長が先見性のある方であり、「これからは資源でなく、エコや脱炭素の分野が来るだろう」ということを社内で発信していました。私のキーワードとして、「地方創生」「中小企業」がありました。そういった社内風土の中で、SDGsに触発されたかと思います。

mySDG編集部:前職の社内の影響を受けているのですね。

大森さん:はい、間違いなくあります。私が総合商社に入っていなかったら、中小企業がサポートされていないことすらわからなかったと思います。


■途上国の社会問題解決の近道は「土台つくり」をすること



mySDG編集部:先ほどの質問と被りますが、SDGsに興味を持ったきっかけをもう少し掘り下げて教えていただけないでしょうか?

大森さん:SDGsといってもいくつかのゴールがあります。特に私どもとしては、貧困と途上国の部分に注力しています。
最初、私が会社を退職したときは、綺麗事では生活できませんでした。「どこに物を売ったら、自分たちがお仕事をいただけて、生きていけるのか」ということにフォーカスして、これから経済が成長する見込みがある、かつ日本企業が進出していないアフリカを拠点としたビジネスを展開しました。お陰様で、自分たちを想定した以上に、アフリカの引き合いが増え、ナイジェリア、エジプト、ケニア、南アフリカに拠点を設けています。この4拠点において感じるのが格差だけでなく、水や教育の問題です。このような問題において、日本の製品を使うと社会課題の解決に繋がるようなものを「もっと出す」という考えに変わってきました。
最初、日本のモノが売れればいいと思っていましたが、現地の生活に資するものじゃないと当然のことながら売れません。少しずつ学んでいきながら、むしろ今はアフリカの経済成長や貧困の解決に繋がるなら、モノが日本でも中国やインドなどでもいいと思うようになりました。

mySDG編集部:貴社のアフリカ4拠点というのは、位置的にもアフリカ大陸の北から南ですよね。それぞれ風土も文化も違います。経済レベルに関しては、南アフリカの方がほかのアフリカ3拠点より上ですが、その拠点を選んだ理由は何ですか?

大森さん:4拠点を選んだ理由は、貿易がしやすい、1人当たりのGDPがある程度の水準を満たしているからであり、ほかにも拠点を構える上で、今後の成長と港がある国も条件でした。日本製品の取り扱いが中心なので、これらの条件がないと、本業の貿易が成り立ちません。この4拠点があれば、ケニアからは隣国のエチオピアやタンザニアとかにも物資を運ぼうと思えば運べますし、ナイジェリアなら近隣のガーナ、エジプトならリビアやスーダンにも物資が運べます。

mySDG編集部:アフリカで必要とされている物資はどんなものなんでしょうか?

大森さん:「足りない」といったら全部足りない状態ですが、日本でなくても中国やヨーロッパから物資が出されています。
今、私たちが注力しているアフリカの社会課題の解決に繋がる分野は、4つのカテゴリーです。1つが農業。アフリカ大陸には、13億人の農業関連従事者がおり、大陸の半数以上を占めています。ここでは、作物を生育するための土壌を整える道具や農機、製剤、肥料、収穫がしやすいモノ、収穫後に売る体制、運搬する冷蔵トラックといった農業――、広義の範囲でいえば「食」の分野です。2つ目は、道路づくりと電力といったインフラ。車がないと生活が成り立ちません。
3つ目は、ヘルスケアであり、PCR検査や新型コロナ関係といった、人々の生活を脅かす感染症に対する製品やサービスをいくつか取り扱っています。
4つ目が、まさに教育の分野。ノートやペンは寄付が多いのですが、私たちが今対応しているのが、現地の教育レベルの底上げです。結局、教師が不足すると、教育レベルが高くなりません。例えば、中学生の方が教える授業は、どんなに頑張ってもそれ以上のレベルには育ちづらいということがありました。その部分を先進国と同じ教育水準を保てるよう、教育用のロボットを提供し、現地でプログラミングを先進国と同レベルで学んでもらえるようにします。例えば、日本の人材派遣会社様と連携し、プログラミングを学んだ後、先進国へ生徒の紹介をしやすいように、日本のプログラミング基準をクリアした証明書を発行する等の取組も進めております。

mySDG編集部:モノを直接渡すよりも、「土台作り」が必要だと感じます。作物を育てるには、土壌や肥料を調えてから土に栄養を入れるとか、教育であれば、教育できる場所を作る、机や椅子の提供、ネットの環境を整えるといった、土台作りがメインとあるという印象を受けました。

大森さん:はい、おっしゃる通りです。以前、ナイジェリアのスラム地域にお米とか寄付したことがありましたが、やはり寄付だとそれをその場で食べて終わりとなってしまい、持続的な成長につながりませんでした。何も根本解決にはなっていません。プラットフォーム――、土台作りの方を今頑張っています。


■現地とのオンラインコミュニケーションの頻度を多くしたら、その後のビジネス構築につながった



mySDG編集部:事業を始められて5年ですが、この間に多分コロナのこともあり、オンラインでのやりとりが多くなったと思います。おそらく、いろいろな変化があるかと思いますが、コロナ前とコロナ後の変化や、コロナ中に改善した事例を教えていただけないでしょうか?

大森さん:コロナ前で一番良かったのは、今思うと海外でこんなに行きやすかったことだと思います。特にアフリカのような地域ですと、昔から粗悪品がすごくありました。現地の方は、世界で評判が良いモノでも、基本的に自分の目で見たモノしか信じません。アフリカに簡単に行けるので、実際に対面してやり取りできるのはすごく良かったですね。コロナの影響で渡航ができなくなり、対面でやり取りするのが難しくなりました。
現地のスタッフが10人以上います。コロナ前は少なくとも日本から誰かが1ヶ月から2ヶ月くらいは現地の人たちと交流していました。コロナのことで、それができなくなったったので、最初はプロジェクトとして進めるのは大変でした。現地に行けば1日で終わるプロジェクトも、Zoom上で1日丸々やり取りするのもあり得ない話です。Zoomのやり取りの頻度を増やし、毎日30分で必ず何かを話します。進捗管理をより徹底しました。
一方、現地のお客様とのやりとりは、残念ながら日本側からのオンラインでのコントロールがしにくくなり、弊社の現地スタッフには必ず直接、足を運んでもらい、そこで関係構築をしてもらっています。そういう意味では、ローカライゼーションがより進み、そのおかげで自分たちのビジネスも現地の課題の決に貢献できていると思います。

mySDG編集部:コロナ後に、日本のスタッフの方が足を運んだことはあるのでしょうか?

大森さん:実際、僕自身も2021年8月に1ヶ月間、現地に行きました。そのときにコロナの隔離された状態でのステイでしたが、やっぱりアフリカへ行って、すごく良かったです。特に、いつもオンラインで会っているので、オフラインで会うことで相乗効果が生まれて、親近感を作ることができました。2022年3月から4月には、弊社のメンバー2人が現地に行きました。

mySDG編集部:やはりこういう状況でもリアルなコミュニケーションっていうのはすごく必要ですね。どの仕事でも現場に行かないとわからないことがありますね。

大森さん:「百聞は一見にしかず」――、まさにその通りです。


■拠点を増やし、現地にローカライズしながら社会問題をし続けたい


mySDG編集部:最後の質問ですが、今後の目標と、新しくチャレンジしたいことを教えていただいてもよろしいでしょうか?

大森さん:私たちのミッションとしては、日本経済の成長に貢献することはもちろんのこと、それよりもアフリカを中心とした途上国の現地の社会課題の解決へ1つでも多く貢献することです。それが「最終的なゴール」です。
私たちが開発するサービスは、あくまでもそのゴールのための1つのツールであり、アプローチ方法です。この軸をブレずにやっていきたいと思っています。これまでアフリカに注力していましたが、2021年末にアメリカ、2022年末、中央アジアと中南米にも拠点を広げていきます。各国の情勢に情勢に応じて、現地で人をローカライズして、その国の社会課題を解決したいです。弊社のサービスを通じて、日本の経済と途上国の経済成長にもつながるような取り組みをますます加速していきたいと思っています。

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