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【取材記事】エシカル先進国「ニュージーランド」のオーガニック石けんを日本へ 人生後半戦を豊かに暮らすためのエシカルな起業

株式会社KORU

植物由来の台所用石けんを中心に地球と肌に優しいボディケア製品を展開するデイリーケアブランド「KORU(コル)」。自然豊かなニュージーランドで暮らす生産者が手がける、地球環境と肌に配慮した良質なアイテムが揃います。

「そもそも起業なんて考えたことのない普通の“おばさん”だった」——。そう自身を語る「KORU」代表の近藤祐子さんは、当時、販売業や輸入に関する知識はゼロ。まったくの無謀な挑戦だったと当時を振り返ります。そんな近藤さんが「KORU」を立ち上げたきっかけは、日常生活に支障をきたすほどの手荒れに悩んだ過去と、海が大好きという地球環境への強い想いだったそう。「とにかく色んな人に素晴らしい商品を知ってほしい」と話す彼女に、「KORU」の原点と商品に対する想いを伺いました。

【お話を伺った方】
株式会社KORU代表 近藤祐子(こんどう・ゆうこ)さん
子供の頃から肌荒れの悩みを経験。20 代の頃には日常生活に支障をきたす程の酷い手荒れ で辛い思いをし、年齢と共にさらに髪の悩みも加わる。諦めきれず、きっとどこかにいい商 品があると信じ探し続ける。たくさんの偶然が重なり、肌トラブルで苦しむ家族のために肌 と環境に優しい商品を生産しているニュージーランドの女性と繋がることができ、今に至る。

■個人的な体験が重なり合って生まれた「KORU」の原点

台所用石けんやセルローススポンジといったキッチン用品のほか、フェイスクリームなどのケアアイテムを展開

mySDG編集部:まずは「KORU」を立ち上げたきっかけを教えてください。

近藤さん:「KORU」の原点は、個人的な体験が偶然重なったことからです。一つは約30年前に日常生活に支障をきたすほどのひどい手荒れに悩んでいたこと。手のあちこちに水疱ができ、常に強烈な痛みと痒みにおそわれていました。色んな皮膚科に通っても治らず、体の中から改善しようと漢方薬も調合してもらって飲んでも、一向に改善の兆しは見えず……。本当に辛かったですね。

それでも「絶対に原因があるはずだ」と、当時図書館に通ってあらゆる専門書を読み漁っていると、おそらく洗剤などに含まれる化学物質が私の肌に合わないのだろうと。そこからの身の回りの洗剤からハンドソープまで、肌に触れるすべてを天然由来の石けん系の製品に変えてみると、肌荒れは落ち着きました。それでもゴム手袋は手放せない状態で、手肌の悩みが完全に解決したわけでもありませんでした。そんなとき、たまたまニュージーランドの台所用石けんに出会い使ってみると、素手で洗えることにびっくりしたんです。最初に使ったときは思わず歓声をあげてしまうほど。それが現在、「KORU」で扱っている台所用石けんです。

自然由来の成分で作られた台所せっけん。手肌や環境に優しい上、洗浄力にも優れている

mySDG編集部:まさに運命の出会いだったんですね。

近藤さん:本当に驚きました。最初は取り寄せて身内だけで使っていましたが、肌トラブルで悩んでいる人から使ってみたいといった声が多く寄せられるようになって……。こんなに多くの方が困っていらっしゃるなら、何とかしたいという思いからオーガニック石けんの輸入販売に踏み切りました。

mySDG編集部:販売業や輸入についての知識や経験がない中、それでも挑戦しようと決断するのはなかなかできることではないですよね。

近藤さん:もちろん不安はありましたし、今でもドキドキしながらなんとかやっている状態です(笑)。とはいえ、決断を後押ししたのは、2つ目の原体験となるプラスチックの環境汚染問題です。私は子どもの頃から海が大好きでよく訪れていますが、最近は浜辺にプラスチックゴミが増えただけではなく、色のついた砂を見かけるようになったんです。よく見ると当時から海洋生態系への影響が懸念されていたマイクロプラスチックであることに気が付きました。海洋汚染問題を調べるうちに、「このままではいけない」と危機感をおぼえるようになり、プラチックフリーを広めることで少しでも課題解決に貢献したいという想いが芽生えるようになります。

これらの思いが重なったとき、ちょうど子育てや親の介護を終え、自分の人生を歩めるステージを迎えていました。残りの人生は、豊かな自然環境を次世代に引き継ぐことに貢献したい、人と環境に優しいものを広める活動したい。その思いを実現できるタイミングが人生に訪れたことで、幸運にも「KORU」を立ち上げることができました。

■「家族のため、地球のため」 一人の女性の想いが紡ぐオーガニック石けん

生産者のブリジットさんは、自身が調達できる最高の素材を厳選。人工の色や香りは一切使わない

mySDG編集部:「KORU」の製品は、ニュージーランド在住の個人の生産者の方から直接仕入れられているそうですね。

近藤さん:そうなんです。ブリジットさんというニュージーランド在住の女性が一人で、手作りしています。彼女が石けん作りを始めたきっかけは、「肌トラブルに悩むご家族のため」だったそうです。さらに彼女自身、家庭からプラスチックボトルをなくすため、プラスチックフリーを広めることに使命感を持っています。厳選した天然素材を使用し、人工の香りや色を一切使わない。そんなこだわりと試行錯誤を重ねて完成させたのが、肌と環境に優しい天然由来のデイリーケア用品です。普段はマルシェやオンラインで販売するほか、お店などでも委託販売されています。

mySDG編集部:初めて使ったとき衝撃をおぼえるほど、使い心が素晴らしかったというブリジットさんの台所用石けん。具体的な魅力を教えてください。

サイズは8×6×2.3cm。石けん1個で約1ヶ月以上もつ(使用頻度による)

近藤さん:今まで使っていた石けん系のものは油汚れが落ちにくくストレスを感じていました。さらに手荒れが軽減されても、どうしても潤いが奪われていく感覚がありました。

mySDG編集部:いくら肌への負担は軽減できたとしても、それでは長く使い続けることは難しいですね。

近藤さん:そうなんです。忙しいときはつい便利な台所用洗剤を使ってしまうこともあって、心の中ではいつも葛藤を抱えていました。それがブリジットさんの台所用石けんに出会ってからは、汚れ落ちや泡切れが良いので洗う時のストレスがなくなり、手肌の乾燥も気にならなくなりました。

mySDG編集部:ちなみに自然環境に優しい洗剤と聞くと、洗浄力が弱まるのではと懸念さえる方もいらっしゃると思います。そのあたりはいかがですか?

近藤さん:これまで色んな方に使っていただいていますが、油汚れがよく落ちると皆さん、驚かれますね。今まで使った固形石けんの中で一番油汚れが落ちたと。さらに泡切れがよく、汚れがサラッと洗い流せるので、すすぎが簡単で節水にもつながります。

あとは、つけ置き洗いできるのも便利です。桶にためた水やお湯の中で石けんを溶かしたり、ステンレス製メッシュケースの中に食器用石鹸を入れて流水にかざしたりして石けん水を作って、鍋や食器をつけ置き洗いができます。汚れ落ちが良くなりますし、使用する水も少量で済むので、地球に優しい洗い方ができます。

ステンレス製メッシュケース(別売り)に石けんを入れ流水にかざすと簡単に石鹸水ができる
メッシュケースに入れて吊るせば、乾燥しやすく衛生的に収納できる

通常、固形石けんだとつけ置き洗いができないタイプのものがほとんどですが、ブリジットさんが手がける台所用石けんは油戻りしないので、つけ置き洗いできるのは大きな利点ですね。

■オーガニック認証をクリアした植物由来のヘアアイテムが登場

水を使わず良質な成分を凝縮して作られている固形シャンプー&固形コンディショナー

mySDG編集部:2022年10月からはあらたに固形シャンプー&固形コンディショナーの取り扱いをスタートされていますね。

近藤さん:実はブリジットさんが手がける製品の中で、私が最も感動したのが固形シャンプーと固形コンディショナーだったんです。いち早く日本で販売したかったのですが、薬機法をクリアしなければならず、1年かけて必要な資格を取得したのち、ようやく販売にいたりました。

mySDG編集部:近藤さんが感動したという商品の魅力を教えてください。

近藤さん:BIO-GRO(ニュージーランドのオーガニック認証)をクリアした天然防腐剤や植物由来の成分にこだわって手作りされたもので、シリコンや合成着色料・合成香料は一切使用していません。

あくまで私個人の使用感ですが、乾燥して絡みやすかった髪の毛がしっとりとまとまりやすくなった印象です。髪の毛の立ち上がりも良くなって、加齢による髪の毛の悩みにも寄り添ってくれるようなヘアアイテムです。

mySDG編集部:洗い心地はいかがですか?

近藤さん: しっかり泡立って、洗い上がりもスッキリ。柑橘系の香りが爽やかで、心身ともにゆるまるようなリラックス気分が味わえます。香りもほのかに香る程度なので、強めの香りが苦手な方にもお気軽にお使いいただけます。

使い方も簡単で、よく濡らした髪の毛に滑らせるように直接つけ、泡立たせるだけ。あとは、液体シャンプーで洗うときと同じように頭皮と髪をマッサージしながら洗い、すすぎます。

mySDG編集部:固形石けんのイメージからか、洗い上がりのきしみが気になるのですが……。

近藤さん:天然成分が多い分、液状シャンプーとは使用感が異なり、多少きしみを感じる
こともあります。きしみが気になる場合はコンディショナーとセットで使用すると洗い上がりがしっとりします。

mySDG編集部:自分用にぜひ試してみたいです。ちなみに自宅用以外にもプレゼントとして贈れるギフトBOXの販売もスタートされたそうですね。

BOXは再生紙100%、クッション材には間伐材を使った天然もくめんを使用

近藤さん:なるべくゴミを出さないよう簡易包装を心がけていたので、当初ギフト包装は想定していませんでした。ところが結婚祝いや出産祝いとして贈りたいというお客様がいらっしゃったり、周りからも「お祝いギフトに合ってるんじゃない?」とアドバイスをもらったりしたことで、ギフトBOXの取り扱いを始めました。梱包材には環境に優しい植物性のものを使用しています。

mySDG編集部:確かに小さいお子さんがいらっしゃるご家庭だと、日用品に気を遣う方は多いですしね。

近藤さん:そうなんです。お子さんが生まれてからは、安心して使える洗剤や石けんを選びたいというご家庭も多くて、赤ちゃんに使われている方や、子どもがお手伝いしたいという年齢になって親子でKORUの台所用石けんを使ってくださる方もいらっしゃって、非常にうれしく感じています。

■「KORU」を通して、女性をエンパワーできる存在に

ニュージーランド産のマヌカハニーやミツロウなど100%天然素材で作られたフェイスクリームも販売

mySDG編集部:最後に今後の展望や目標を教えてください。

近藤さん:まずは色んな方に知ってもらうことが一番の目標です。ホームページまでたどり着けない方もまだまだ多いですし、「KORU」のこと知ってもらうことで、選択肢の一つになれたらと思っています。

mySDG編集部:ちなみに個人的に感銘を受けたのが、近藤さんが子育てと介護を終え、第2の人生として「KORU」を立ち上げたことです。人生100年時代と言われる世の中で、近藤さんの活動は人生後半戦を豊かに生きていくためのロールモデルにもなり得るなと思いました。

近藤さん:ありがとうございます。実は周りの友人たちも、今の私の活動をすごく応援してくれていて、彼女たちにはすごく支えられています。というのも、年齢的にも色んなことを諦めてしまいやすい年代だからこそ、私が好きなことをしているのを見ると、うれしくなるようで。私の役にも立ちたいし、社会や次世代のために何か役に立つことがしたいと、「KORU」の活動を色々と手伝ってくれています。なので、これは夢の段階ではありますが、将来的には彼女たちにしっかり報酬を払いつつ、ともに「KORU」の活動を続けていけたらいいなと考えています。

mySDG編集部:年齢に関係なくチャレンジできるという近藤さんのメッセージによって、彼女たちも勇気づけられているのかもしれませんね。

近藤さん:特別なことができない私でも、なんとかここまで出来たからこそ、周りはそのことがうれしくて応援したくなるようです。「歳だから」と言い訳せずやってみれば、道は拓けていくものだと。確かに歳を取ると、働く場所もなくて、エネルギーを持て余してしまうことがあります。私もこれまで子育てと仕事を必死にこなし、ようやく親の介護を終え、人生に一段落ついたとき、正直途方にくれてしまったんです。これまで “誰かのため”の人生を必死で生きてきたけれど、誰の役にも立たない自分になってしまったようで、この先どうしたらいんだろうって。

だけど年齢を重ねたからこそ、培ったいいものはたくさんあるし、そのパワーをうまく使わないのは、もったいないですよね。だからこそ、第2の人生を歩みたい女性たちの力を生かせる場所を作ることも、「KORU」の今後の目標として実現していきたいです。そして「KORU」の活動を通して、周りの女性たちを勇気づけることができたらと思っています。

mySDG編集部:女性たちの第2の人生をエンパワーする活動も期待しています。近藤さん、本日は素敵なお話をありがとうございました。

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