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【取材記事】クラフトビールは横浜を盛り上げるコミュニティハブ 楽しんだ先に見えたSDGs 周りを巻き込みながら進んでいくローカルビアカンパニー

株式会社横浜ビール

お話を伺った方

株式会社横浜ビール 広報・ファンプロジェクト ゼネラルマネージャー  横内勇人(よこうち はやと)様

1981年生まれ。1歳、3歳の娘を持つ2児のパパ。
2005年日本食研株式会社に入社。全国出張時に地域ごとのビールの魅力に惹かれ、2016年横浜ビールに転職。
営業、マーケティングを経て、現部署を立ち上げる。
横浜を"ビール"と"愛"で溢れるワクワクする街にしたい!そんな想いで、ビールを通した数々のプロジェクトを実施。
月1回横浜エリアを観光しながらランニングし、横浜ビールで乾杯を行う『横浜ビールランニングクラブ(YBRC)』や、
6人のペダルを動力として動くビアカウンター「ビアバイク」で、横浜の2箇所の醸造所見学と日本初の公道走行する『ビアバイクツーリズム』を行う。

■「横浜のために」クラフトビールを通じてワクワクを届ける


mySDG編集部:まずは、株式会社横浜ビールさんの事業概要について教えていただけますか?

横内さん:主に、クラフトビールの製造とレストラン運営の2軸です。同じ建物内でビールを作って提供をしています。

mySDG編集部:そうなんですね。ホームページでSDGsについての記載を拝見しましたが、どういった経緯でSDGsを意識されたのでしょうか?

横内さん:正直なところ、SDGsを意識して何かアクションを起こそうと思っているわけではないです。社名に「横浜」と地域名が入っていることもありますし、街のビール屋として、地域の方々にビールを通して還元できることはないかと日々模索しています。

ビールの原料やレストランで利用する食材を地域の農家さんから仕入れて、「人」を伝える発信をしたり、ビールの製作過程で発生するモルト粕を提供してクラフトビールペーパーやお菓子に利用するなどエコや地域に根ざした活動を実施しています。

その他にも、食品廃棄物を資源として循環させるプロジェクト(=「FOOD LOOP(フードループ)」)として、ビールの製作過程やレストランで発生する端材を堆肥に利用して、横浜の水源地のひとつである山梨県南都留郡道志村で生産者とともに野菜の栽培をしています。収穫した野菜は弊社のレストランはもちろん、横浜市内の飲食店でも使われています。

地域の人のために、という気持ちで動いていたら結果としてSDGsにつながったという感覚です。

mySDG編集部:実は以前kitafukuさん(​​クラフトビールの醸造過程で廃棄となる「モルト粕」の再生事業企業)にお話を伺った際も、SDGsを意識するというよりも「横浜のために」という想いが始まりだと仰っていて、地域のためにという意識から始まるんだなと感じました!

横内さん:ちょうど昨日kitafukuさんにモルト粕をお渡ししました。仰るようにkitafukuさんも我々と同じく、利益追求ではなく地域のために何かしたいという想いをお持ちなので共感できる部分が多いと感じてモルト粕を提供しています。

mySDG編集部:クラフトビールで繋がるSDGs・・・素敵です!

横内さん:今、クラフトビール会社は増えていて、日本で約600社ほどあります。神奈川は、東京に次いで2番目の多さです。弊社の周辺にも5社ありますし、日本で一番クラフトビール会社の密集度が高いと言われています。横浜のクラフトビール会社では弊社が一番長いのですが、他社さんは競合というより仲間のような感覚です。クラフトビールって楽しい飲み物なので。ただ美味しさを追求するだけでなく、手作りの良さを感じてもらって、ビールを楽しんでいただくというのが一番重要です。

mySDG編集部:ホームページやリリースで「ワクワク」というキーワードを多く拝見したのですが、そこにもビールを楽しむという想いが込められてるんでしょうか?

横内さん:そうです。美味しいビールを届けるというのはもちろんですが、ワクワクを届けたいです。ビールはかしこまって飲むものではないですし、気楽に楽しんでほしいです。

■コロナ禍で再確認したヨコビファンの暖かさ


mySDG編集部:「ヨコビファンプロジェクト」(ヨコビ=横浜ビールの略)はどのようなものなんでしょうか?

横内さん:コロナ禍に入りレストランやホテル事業を縮小し、SNSや通販を本格的に始めました。その際、SNSや通販の購入ページ備考欄にたくさんの方から「頑張ってください」「応援しています」などのコメントをいただきました。
レストランを開けたら、常連の方が何度も来店してくださったり、ファンに支えられてるなと強く感じました。
ヨコビファンプロジェクトは、その方たちを大事にしたい、ワクワクさせたい、仲間として横浜ビールを一緒に盛り上げたいという想いで立ち上がったプロジェクトです。
例えば、ランニングクラブでは月1回集まったメンバーでみなとみらいを観光しながらランニングをします。毎月50人くらい集まります。終わったらビールを1杯無料で提供しています。ここで新たなつながりができたり、皆さん楽しんでくださっています。
他にもフットサルやヨガなどビールで繋がる様々なコミュニティを作っています。

mySDG編集部:ビールがきっかけで繋がりが広がっているんですね!

横内さん:私自身昔からビールが好きで毎日飲んでいたらお腹が出てきてしまって(笑)
どうにかしようと走っていたらあるきっかけをいただいて、ホノルルハーフマラソンに出場しました。そこで走る楽しさに目覚めて、ランニングクラブ発足に繋がりました。

mySDG編集部:なるほど。何かやった後にビールを飲みたい人が集まるんですね!

横内さん:ランニング好きにはビールやお酒好きが多い気がします。
最近では、スウェーデン発祥のフィットネス「プロギング」を取り入れています。
スウェーデン語で拾うという意味の「Plocka Upp」 と「jogging」を組み合わせたもので、走りながらゴミを拾います。
トングなどを使用せず軍手でゴミを拾うので、走ることに加えて立ったりしゃがんだりのトレーニングにもなります。

月に1回、プロギングではなく普通に街の清掃をしているのですが、トングを利用して下を向いてゴミを拾うからか、「なんでこんなにゴミが多いんだ・・・」と後ろ向きな思考になってしまうんです。
それに対してプロギングは身体を使って、拾ったゴミを仲間に渡すときに会話やハイタッチなどコミュニケーションが発生するので、明るい気持ちで街を綺麗にできます。

先日実施した際は、20人で10キロほどのゴミが集まりました。その最後にも、皆で達成感を感じながら気持ちよくビールを飲みました。

mySDG編集部:良いですね!様々な企業さんにインタビューをさせていただいて、SDGs活動を継続することが難しいという声をよく聞きますが、貴社の取り組みは楽しみながら続けられそうです!

横内さん:そうですね。先程話した街の清掃のように、ゴミを拾いを目的にしてしまうとネガティブなイメージを持ってしまったりして継続が難しいことと感じてしまいますが、プロギングのように身体を動かすことや、仲間に会うこと、弊社の場合は最後にビールを飲むことなど別の目的があれば楽しく続けられると思います。

■両親の笑顔から始まったビアバイクプロジェクト


撮影:工藤葵(横浜ビール広報・写真家)

mySDG編集部:なるほど。プレスリリースに記載のあったニューノーマルなクラフトビールの企画についても教えてください。

横内さん:いくつかありますが、一番は「ビアバイク」です。オランダ発祥の乗り物で、ビールを飲みながら走れる自転車です。ペダルを漕ぐ人が6人、一番前にハンドルとブレーキを操縦する運転手が乗車します。公道をビールを飲みながら走ります。(運転手は飲酒しません)後ろにはピアノやバイオリンなどの演奏者に同乗してもらい生演奏を聞きながら街を走ることができます。

撮影:工藤葵(横浜ビール広報・写真家)

mySDG編集部:どういった経緯で始まったんですか?

横内さん:ハワイでビアバイクに乗ったことがきっかけです。
横浜ビールに転職する前にまとまった休みがあったので、母の希望もあって両親と奥さんを連れて旅行に行きました。そこで奥さんが、私がビール会社に転職するということで、ビアバイクを予約してくれていたんです。
乗った際、70歳近い両親が今まで見たことないくらいの笑顔で楽しんでいて、同乗していた海外の方と意気投合してその後飲みに行ったりしてました。
あの笑顔が忘れられず、横浜でも必ずビアバイク走らせたい!と思いました。

日本のビアバイクについて調べると、車両を持っていても倉庫に眠らせていたり、ほとんど活動してませんでした。
日本で初めてビアバイクの車両を作った方にコンタクトをとったところ、偶然父親と同じ宮崎県日南市飫肥という小さな街の同じ小学校出身の方というご縁もあり、宮崎から車両を持ってきてくださいました。

社内でビアバイク事業開始の了承は取れたのですが、事業としてまだ成り立っていなかったので購入が難しく、横浜市に交渉するなどしていました。
イベントなどでレンタルをしながら進めていたところ、先日横浜観光コンベンションビューローのスクラム事業で観光事業として採択され、横浜市での定期走行への実現を後押しするきっかけとなりました。

横浜は観光地ではありますが、一つ一つの観光地が離れている(みなといらい、赤レンガ倉庫、中華街など)ので回遊する観光客が少なく、宿泊者は東京に行ってしまうという課題があります。
ビアバイクをきっかけに横浜を回遊して、ビールを飲んで楽しい気持ちになり、そのまま宿泊してもらうという狙いもあります。
クラフトビールを飲みに横浜に来てくださるお客さんを増やしたいと思っています。

■クラフトビールと一緒に横浜を盛り上げる


mySDG編集部:楽しいことで人が集まって、良いことだから続くんですね。そのきっかけがビール。ビールの可能性、すごいです。

横内さん:ビールは人を繋ぐコミュニティハブだと思っています。楽しいことをしていると人が寄ってきて、その方たちが意見をくれて、それを形にする。自分発信だけでなくみんなでアップデートしていくイメージです。

mySDG編集部:横内さんは6年前に転職されて横浜ビールに入社されたとのことですが、横内さんの入社前からこのように様々な活動をされていたのでしょうか?

横内さん:コミュニティやビアバイクは活動していませんでしたが、始めにお話した地域の農家さんとの提携などは昔からやっています。ホームページに農家さんの紹介も載せています。

横浜市瀬谷区の「岩﨑農園」さんは、同地区で唯一の小麦農家です。クラフトビールに小麦を使わせていただいております。活動や想いについて発信していくため、ただ仕入れるだけではなく実際にスタッフが小麦の種まきや麦踏み、収穫作業を体験することを大切にしています。

mySDG編集部:生産者の方にも着目している理由は何かあるのでしょうか?

横内さん:私が入社する前の話ですが、20年ほど前もレストランの運営をしていました。今ほどクラフトビールに馴染みがなかったこともあり、売上を伸ばす為に安売り戦略をとってしまったそうです。その結果、お客さんは増えましたが、ビールを楽しむよりも、飲み会する店のようになってしまって。喧嘩が発生することもあったようです。従業員は疲弊してしまい、サービスも低下し、良い状態ではなかったようです。ある時、当時の社長が農家さんに出会いました。その農家さんは、肥料にも食べられるものを利用するなどして、とにかく自分が美味しいと思えるこだわった野菜を作っていたのですが、安売りは絶対にしなかったそうです。そこでレストランの在り方について改めて考え、レストランはただ安く料理を提供するのではなく、仕入先の想いやストーリーを伝えていく役割があると気づき、建て直していきました。

mySDG編集部:そのような想いが土台にあるからこそ、人が集まるんですね。最後に、今後の展望や目標など教えて下さい。

横内さん:横浜ビールだけではなく、他社さんのクラフトビールも飲んでいただき、街としてクラフトビールを盛り上げていきたいです。クラフトビールはビール市場全体の約1%程度なので、競合しても仕方ないと思っています。手を取り合って横浜をビールを通したクラフトビールの街へ、ゆくゆくは横浜に来たらなんだかワクワクすると感じてもらえる、エンタメの街にしたいです。

その一つとして、ビアバイクを拡大したいです。ランニング以外にもキャンプやサウナなど日常を彩るライフスタイルの様々な場面でビールを楽しんでいただけたらと思います。

mySDG編集部:ありがとうございました。

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