0本の木を植えました

mySDGの植樹活動について

thumbnail

「古着deワクチン」「お針子事業」持続可能な「捨てさせない屋」ビジネスで世界中の笑顔に繋がる「三方良し」理念企業。

日本リユースシステム株式会社

「捨てさせない屋」を名乗る、日本リユースシステム株式会社が取り組む、日本と世界を結ぶリユース事業について、創業から現在に至るまでの道のりや、事業を始めるきっかけ、今後の展望、アジ アや開発途上国への熱い思いを、広報担当の鈴木さんにお話を聞きました。

 

お話を伺った方


鈴木詩織さん
日本リユースシステム株式会社 広報 
千葉県生まれ。東洋大学卒業後、一社を経て現在の日本リユースシステム株式会社へ入社。
「古着deワクチン」や「お針子事業」を中心に同社のサステナビリティや広報全般を担う。



小林慎和(こばやし のりたか)
株式会社bajji 代表取締役CEO 
ビジネス・ブレークスルー大学 教授
大阪大学大学院卒。野村総合研究所で9年間経営コンサルタントとして従事、その間に海外進出支援を数多く経験。2011年グリー株式会社に入社。同社にて2年間、海外展開やM&Aを担当。海外拠点の立ち上げに関わり、シンガポールへの赴任も経験。その後、シンガポールにて起業。以来国内外で複数の企業を創業しイグジットも2回経験。株式会社bajjiを2019年に創業し現在に至る。Google play ベストオブ2020大賞受賞。著書に『人類2.0アフターコロナの生き方』など。



日本リユースシステム株式会社前身はリサイクルショップから始まった

小林:御社の設立は2005年。御社のサービスは何から始まったのですか?

鈴木さん:社名の通り、総合リユースから始まりました。創業前に代表の山田がリサイクルショップを経営していました。2005年頃、日本では使わなくなると捨てるのが普通の時代でした。また、当時は開発途上国に対してリユース事業をする日本人はほとんどいなかったため、日本国内よりも、開発途上国でビジネスを展開した方が、幅広く受け入れられるのではと考え設立しました。当初は服の他、放置自転車・本・家具・家電等を取り扱っていました。

小林:アジアなど、開発途上国に持っていくことが大変なもの等あるのですか?

鈴木さん:持っていくことはどんなアイテムでも大変です。ですが、日本で「ゴミ」として捨てられたものでも、開発途上国では立派に使用できるので、喜んでいただけます。
そのため、弊社としてはリユース業で物流はきもだと考えておりまして、コスト面はこだわるところです。中古専門輸出商社の株式会社南越商会さん、物流企業の株式会社丸和運輸機関さんに支援頂いて起業致しました。

小林:二つのパートナー企業様は、御社の山田社長のリサイクルショップからの知見が有り、直ぐに見つかった形ですか?

鈴木さん:そうですね。

小林:開発途上国へ運ぶ費用はどのようにしてまかなわれているのですか?

鈴木さん:費用もインクルージョンしてサービスを提供させて頂いています。
一般的なリユース業者ですと、買取価格と再販価格があり、その差額で運営費用を出すのですが、弊社は「古着deワクチン」で見られるようにお客様にサービスをご利用頂く上で運営費用を頂いて 更に物流費用を抑え、運営しています。

小林:サービスの中に、回収費用・物流費用・現地の人を雇う費用を入れ込んでいるんですね。


主力サービス「古着deワクチン」で繋がるカンボジアの障がい者雇用

小林:リユースをワクチンやその他の社会貢献と絡めるなどはあるのですか ?

鈴木さん:「古着deワクチン」では、お片づけキットを販売した数によってワクチンを寄付させて頂いています。さらに、お客様にお届けするお片づけキットを全国の福祉作業 所で作って頂くことで、障がいのある方の仕事に繋がっています。

小林:なるほど。



鈴木さん:それから、お客様に、お片づけキットを使って衣類を弊社のセンターに送って頂きますと、カンボジア等の開発途上国で「再利用(リユース)」させて頂いております。
アパレル業界では衣類の廃棄や環境への影響が問題になっていますが、廃棄物や温室効果ガスの削減にも繋がっています。

カンボジアでは「古着deワクチン」で集まったお客様の大切な衣類を販売する直営店をオープンしました。そこでは、ポリオの障がいのあるスタッフさんが中心となって働かれております。
ですので、日本の皆様が不要となった衣類を「古着deワクチン」を通して送って頂くことで、現地の障がいのある方の雇用にも繋がっています。 さらに、同じポリオで苦しむ子どもが一人もいなくなるようにというスタッフ皆の思いから、小売りで衣類等が1点売れるごとに、ポリオワクチン1人分が寄付される仕組みを設けているんです。



小林:あまりにも完璧すぎて。(笑)
一気通貫、徹底されていますね。


SDGs目標にこだわらない「三方良し」の企業理念。



小林:「古着deワクチン」はいつ頃から開始されたのですか?

鈴木さん:2010年からスタートしています。

小林: 御社HPにも掲載されていますが、この12年でどれほど達成されたのでしょうか?

鈴木さん:そうですね。「古着deワクチン」では394万人分のポリオワクチンと、衣類は3,317万着分(2022年3月31日時点/関連事業含む)を寄付したり、再利用させて頂いたりしています。

小林:そうなんですね。そうすると、会社の成り立ちもリユースですし、その後、「古着deワクチン」 も始められたので、今回のインタビュー内容でもあるSDGsは御社にとっては後からやってきた感じですね。

鈴木さん:(笑)そうですね。実は弊社は「三方良し」を企業理念に掲げています。なので、お取引先、お客様、環境に良い等で事業を設計しているので、それを続けていたことで正直なところ、SDGsが後からついてきたという感じを受けています。


戦争の足跡、カンボジアの地雷被害者やその支援団体と連携したビジネスの展開も目指す

小林:ところで、カンボジアの直営店という事でしたが、国の選定理由みたいなものはあるのですか?

鈴木さん:まず、カンボジアが物流の観点からとても良い位置に立地している事です。
アジアですと、ベトナムやタイなどをイメージされると思うのですが、他の国と比べると、カンボジ アは南には海があり、北や東は様々な国に接しております。日本から送った衣類を、カンボジアで販売・選別し、更に世界中で再流通させる時に、物流のきもとなる国であるということが、 選んだ要因の一つであります。

小林:実はコロナが始まる前に、最後に行った国がカンボジアなんです。

鈴木さん:そうなんですね!お店は首都のプノンペンにオープンしてます。是非機会あれば。 目的というか、どちらに行かれたんですか?

小林:カンボジアとラオス2カ国に行っていたんです。地雷の撤去作業をするNGOがあって、そこに見学に行かせてもらったんです。私はそういうのにちょくちょく行くのが好きなもので。

鈴木さん:私もカンボジアとラオスに行ったことがあります。地雷の博物館へも行ったことがありますね。

小林:しかし、私は単発で行くだけなので、御社のように一気通貫のモデルは作っていないので関心します。

鈴木さん:カンボジアは代表の山田にも馴染みの深い場所で、それこそ、地雷で足が無くなってしまったり、手足が不自由になってしまった方のNGOを長年支援しております。 そちらとも今後、「古着deワクチン」でビジネス的に連携しようと目指しているところです。

小林:鈴木さんもアジアをあちこち飛び回る方なんですか?

鈴木さん:そうですね。でも、コロナの関係で実はカンボジアの直営店も一度も行くことなくオープンしてしまったので、早く行きたいと思っています。

小林:直営店モデルは広げていこうと思っているのですか?

鈴木さん:はい。モンゴルやフィリピンなどに、カンボジアのモデルを確立させて横展開させていきたいと思っています。


モノづくりではなく素材提供者に。「お針子事業」で日本の着物・帯をアップサイクル。



鈴木さん:モンゴルは弊社のお針子事業という、着物や帯を活かす事業で既に馴染みがあり、 進出している国でもあります。

小林:「お針子事業」のお話をもう少し詳しく聞かせてください。

鈴木さん:現在、日本の着物や帯は着用されなくなり、右肩上がりに廃棄されているんです。小林さんのご家庭にも着物や帯はありますか?

小林:うちにもあります。

鈴木さん:ほんとうですか?では是非奥様にお聞き頂ければと思うのですが、なぜ着物を着ないのかとご意見をお伺いすると、着る機会がない、着るのが面倒、保管が大変など、色々な問題があります。
一番着物を保有している世代の50代、60代、70代の方がどんどん手放していっているのですね。
矢野経済研究所の調査によると8億点もの着物・帯が国内に眠っているらしいのです。 もう着ない着物は、終活や断捨離、遺品整理をきっかけに右肩上がりに廃棄されているんです。

小林:もったいない。

鈴木さん:もったいないですよね。
しかし、すごく豪華で職人さんの伝統と英知を詰め込んだ着物や帯が、このまま捨てられてしまうことがすごく残念に思いまして、これをなんとか活かせる方法がないかということで行きついたのが、着物や帯を「生地素材」として再活用するアップサイクルの形です。

小林:その生地で小物など作るのですか?

鈴木さん:弊社は作るのではなく、生地素材を提供する形になります。
というのも、実は弊社、廃棄着物を活かすビジネスを展開しようと思い、これまでいくつか事業パターンを展開してきたのですが、どれも上手く行かず失敗してきました。
まず、クールジャパンにあやかり、海外で着てくれる人がいるだろうと輸出したのですが、そもそも着方が分からないらしく、全く売れずに失敗しました。
次に、着物や帯を使って何かお洒落なアイテムを作ろうかとカンボジアでも展開したのですが、カンボジアの方をマネジメントして、日本や世界でも販売できるようなクオリティ・デザイン・質の高いアイテムを私たちには作ることが難しかった。
ではどうしたら着物や帯を活かすことができるのか?と考えた時に、私たちは作るのではなく素材を提供する側になれば良いのではないかと考えたのです。
アパレルブランドさんやハンドメイドユーザーさんなど使いたい人、作りたい人は沢山おられるので、その方たちに向けて素材を販売する方が弊社としてもよいのではないかと。 こうして「お針子事業」は着物や帯を素材化して販売するというビジネスになりました。


民族衣装とのコラボレーション「お針子デール」モンゴルで生まれ変わる日本の着物・帯。

小林:販売先は国内なのですか?

鈴木さん:国内外問わずですね。モンゴル・カンボジア・ドイツなど様々な国で使われています。



鈴木さん:こちらのKimono Upcycle Cloth「ohariko」は、モンゴルのシングルマザーや障がいのある方に作って頂いています。国内でも福祉作業所の障がいがある方に製造をご協力いただいています。



鈴木さん:モンゴルのシングルマザーやゲル地区(貧困地区)に暮らしている方などをスタッフとして集め、着物を生地にしていく作業で働いて頂いています。
モンゴルにはデールという民族衣装があり、着物などで作ったお針子デールというのが人気になったんです。



鈴木さん:モンゴルは年に1、2回(お祭りや年末年始)民族衣装を着用して盛り上がる機会があるのですが、去年作った衣装はもう着ないんですね。もったいないとは思いますが、他人と違うもの、他の人よりもカッコイイものを選ぶ国民性のようです。
そういった面で、モンゴルで昔から流通していた生地よりも、日本の着物や帯の生地は、柄や、 金糸が豪華でとてもいいと、デールの生地として使われることが多いですね。

小林:とても素晴らしいですね。

鈴木さん:ありがとうございます。


アイディア溢れる、リユース事業の今後の展望・目標 。キーワードは「ユーズド・イン・ジャパン」

小林:御社リユースビジネスは服に始まり、放置自転車・本・着物と展開してきていますが、まだリユース出来ていないが、今後これをリユースしてみたいと思う物はあるのですか?

鈴木さん:沢山あります!(笑)
例えば、ベビーカーです。日本だと3歳、4歳で使わなくなりますが、ベビーカーは意外と高価なんです。リサイクルショップなどで常に高く買ってもらえるかというと、需要と供給のバランスでそれほど高く買い取ってもらえない。人にあげるのも難しいと。やはり手放し方にお困りの方が多いと考えています。
今後、弊社がベビーカーを集めて、開発途上国に輸出し再利用します。ご利用頂いた数に応じて、先ほどお話にも出ました、カンボジアで地雷によって足が無くなり、車椅子を必要とされる団体の方に寄付していきたいなと考えています。
それから、ランドセルですね。小学校を卒業すると不要になりますが、やはり捨てにくいですよね。そもそも処分しづらく、誰かにお下がりとしてあげるのも難しい。思い出も詰まっていて、なおさら手放しづらい。
しかし、世界の子どもたちの為になるなら、手放せる方はいらっしゃると思いますので、ランドセルソリューションのお片づけ商品をリリースしたいと思っています。

小林:最近のランドセルはとても出来がいいので6年では全然へこたれないですもんね。

鈴木さん:TVで見たのですが、最近のランドセルは高いものですと20万円もするとか。

小林:うちは子どもが三人いまして、ベビーカーはどう処分したかというと、その時は海外に住んでいたので、日本のジモティーのようなサイトに出品しました。そうすると直ぐにレスポンスが来て買いたいと。
日本人だと子どもの物だから新品が欲しいという方が多いですが、海外の人は中古でいいよという感覚なんでしょうね。

鈴木さん:リユースの目線でいうと、中国の新品よりも、日本の中古の方が質が高いというイメージはお持ちのようですね。
なので、「ユーズド・イン・ジャパン」という言葉がありますね。

小林:メイド・イン・ジャパンではなく、ユーズド・イン・ジャパンなんですね!意義深いキーワードですね。 他にも取り組みたいことはあるのですか?

鈴木さん:あとは企業様向けに、作業服版の「古着deワクチン」を出したいなと思っています。 作業服も企業様は何年かに一度リニューアルをします。その度に不要になった作業服をどう処分するか、企業様の中ではお困りごとになっています。
SDGs的に環境に優しい手放し方を考えても、一般のリユース企業様は作業服の買取を不可としているところがとても多いのです。不要な作業服は行き場に困っているというのが現状です。
作業服を「古着deワクチン」の作業服版で集めて、開発途上国で活かす。企業様によっては、開発途上国に流通した自社の作業服が悪用されたら困る。というご意見もありますので、企業様のロゴを外す作業を、国内の福祉作業所にやって頂くというソリューションにして、障がいのある方の仕事にも繋がるという形で展開していきたいと考えています。


SDGsの成果 「古着deワクチン」で、目標13の見える化

小林:HPを閲覧させて頂くと、見やすい所に素晴らしい定量的な成果が表示されているのですが、あえて成果を出しているところにお聞きしますが、定量的な成果が出せなくて困っている指標はありますか?

鈴木さん:困っているというよりも、これから出したいと思っている数字は、「古着deワクチン」で削減された二酸化炭素の量ですね!

小林:いいですね!
世界全体の二酸化炭素の排出する要因の7%は小売り、リテール、服なんですよね。 服を生産する、焼却する、運ぶときに、服が多量の二酸化炭素を排出しているんですよね。ですので、その定量化はいいですね!

鈴木さん:「古着deワクチン」をご利用してくださったお客様には、カンボジアで、このように活かされて、雇用にも繋がっていますということを活動報告の様な形でもっとアピールしていきたいと思っています。

小林:その障がい者の方の労働時間等もポイントになるのだと思いますね。

鈴木さん:衣類等が小売りで売れると、1商品につきポリオワクチン1人分が寄付される仕組みです。そこで今後はカンボジアを通して寄付できたワクチンの数や現地で売れた衣類の数をアピールしていきたいですね。

小林:何かのアクションと連動するというのはとても良いと思いますね。


持続可能なリユース事業「古着deワクチン」 。 ポリオの根絶を胸に直近では500万人分のワクチン寄付を目標に


鈴木さん:最後にどうしてもお伝えしたいことがありまして、「古着deワクチン」は、500万人分のポリオワクチン寄付を目標に進めております。
弊社だけで出来ることはとても小さいため、SDGsのゴールの1つでもある「パートナーシップで目標を達成しよう」に基づいて、通販・物販企業様に「古着deワクチン」をどんどんお取り扱いいただきたいと思っています。取り扱い場所が増えることで、さらにたくさんの方にご利用いただき、ソーシャルグッドなこの取り組みをまい進していきたいと思っています。

「古着deワクチン」をお取り扱いいただける企業様を募集すると共に、カンボジアでのビジネスモデルを確立させて、他国に展開していくことで、社会により良い流れを加速させていきたいです。
最終目標はポリオの根絶。「古着deワクチン」を通して、利益を得ながら持続可能な寄付をして、世界中の問題の解決に繋がっていければと思います。

この進捗のプロジェクト

この進捗がターゲットとする目標

sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg
sdg

この進捗が獲得した証明

mySDGによる証明

第3者ユーザーによる証明

公的機関ユーザーによる証明

SDGs進捗見える化メディアプラットフォーム

© 2022 bajji, Inc.